[Vol.89]あわてない!クレーム対応̶1
「クレーム処理」
店頭で直接商品を手渡しする対面販売と比べて、通信販売ではトラブルやクレームも多くなりがちです。本節では、万が一クレームが発生してしまった場合の対応について解説します。
品切れや在庫不足の場合
ECサイトでは、販売する商品の在庫状況がシステムで管理できていることが理想的ですが、システム構築費用を抑えようとすると在庫管理機能まで採用できないケースもあります。また、仕入れや出荷のたびに在庫個数を随時更新する必要もあり、運用管理が煩雑になってしまいます。
そのため在庫管理をしないケースも多々ありますが、お客さまから注文いただいた商品が、万が一品切れや在庫不足ですぐにお届けできない場合には、迅速にその旨をお客さまに伝えて、いつになればお届けできるかも説明しましょう。
事前にECサイト上に品切れの場合について注意書きをしておくことも必要ですが、納期が遅くなることによりお客さまが解約を申し出た場合は、真摯な態度で対応しましょう。
クレームへの対応
通信販売では、配達途中で破損したり注文と異なる商品が届いたりといったトラブルも起こりがちです。トラブルが起きたときの対応方法によってはお客さまの信頼をなくし、そのお客さまが離れていくばかりか、クチコミなどで悪いイメージが広がってしまう恐れもあります。また逆に、クレームの対処を誠意を持って行うことで、ファンになってくれるケースもあります。
まずは誠実で迅速な対応を
お客さまからのクレームを受けた場合は、まず第一に冷静で誠実な対応をするように心がけましょう。
不具合により、お客さまが大変な剣幕でお怒りになっている場合もありますし、お客さまの勘違いでクレームを申し出てくる場合など、さまざまなケースが考えられますが、たとえお店側に非がないケースでも、丁寧に対応してください。
メールでクレームを受けた場合
メールで連絡をしてくる人の中には、電話をかけてこられるのを嫌がる人もいます。とは言っても、メールでのやり取りでは時間がかかったり、なかなか埒があかない場合もあります。メールでクレームを受けた場合は、クレームの内容や緊急度によりメールで回答するのか、電話で連絡すべきか判断してください。
メールで回答する場合には、なるべく迅速に最初の連絡をするようにしてください。クレームを受けた段階では、文面からだけではクレーム内容が判断できないことや、原因解明に時間がかかるケースもあるでしょう。そのような場合には、まずクレームを受領したこと、またいつまでにどのようなリアクションを取る予定なのか、おおまかなスケジュールもお知らせします。
そして、必ず謝罪のコメントを入れましょう。「非がどちらにあるかわからない状態で謝罪なんてしてはいけない」という意見もあるかとは思いますが、原因が判明していない段階ではクレーム内容そのものについて謝罪するのではなく、「お客さまにお手間をとらせてしまった」ことに対するお詫びの気持ちを表すようにするとよいでしょう。
これは、電話で応対する場合も同様です。
杓子定規な対応ではなく心のこもった対応を
クレームやトラブル時の対応はマニュアル通りの杓子定規な対応ではなく、お客さま本位の心のこもった対応を心がけましょう。
これは決して、どんな要求も受け入れるということではありません。お客さまがその商品をいつどのようにお使いになるために注文されたのかを考え、返品に応じて返金するのがよいのか、代替品を送るのがよいのか、どうすればお客さまの目的にもっとも沿った対応となるのか、その都度考えて対応するようにします。